本市では事例はありませんが、想定として意見を書かせていただきます。
本市では、既存擁壁はそのまま存置する限り既存不適格として扱うため、今回の既存擁壁において、新たに策定する地区計画の制限内容の指導はできません。
また、2~3mの高低差の対応のために既存擁壁を設けていることから、ただし書きで書かれている「構造上やむを得ないもの」と判断できると思われます(2~3mの高さの擁壁を撤去すると安全上支障をきたす可能性が大きいと想定されます)。その場合は既存不適格ではなく、ただし書きに記載されているとおりの地区計画に適合している擁壁となります。
建築確認申請においては、「壁面後退区域における工作物設置の制限」は、建築条例による制限できる範囲ではないため、既存擁壁の設置位置については、審査対象外となります(擁壁自体が建築基準法の基準を満たしているかは審査します)。
上記から、既存擁壁の設置位置について、地区計画上は既存不適格(又は適合)、確認申請上は審査対象外となるため、撤去まで指導は行わないと思われます。
ただし、区画道路整備の趣旨を考えると、区画道路部分は通行に支障がないよう、できるだけ既存工作物の後退をお願いする対応になると思われます。